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カルテ⑬数字でみる[蔵の街]音楽祭 1 1999 3月号 蔵の街クリニック原稿

先頃、昨年の第10回[蔵の街]音楽祭の報告書がまとまった。
興味深い数字があるので御紹介旁検討を試みたい。
まず、第10回音楽祭全体の延べ参加者。表1の通りである。

(表1)

 

   

第8回

第9回

10

延べ参加者

6,091

6,366

5,109

要因

市内中学生招待900

もののけ姫ヒット1,000

音楽祭サミット250

補正参加者

100

5,191

5,366


第9回は「明治の学舎・日本のメロディー」に出演する
米良美一氏がアニメーション映画「もののけ姫」で一躍脚光を浴びるという先見というより「神風」というべき幸運があった。
米良氏のコンサートはもともと栃木高校講堂を会場に300名程度の聴衆を想定していたのだから1,293名の聴衆とはいっても「もののけ効果」1,000名程は差し引いてみるのが慎みというものだろう。
運も実力の内、と開き直るか、身の程にあった見方をするかで参加者すなわち集客、ひいては音楽祭の評価は異なる。
委員の中には第10回がこれまでと比較して「盛り上がらなかった」という人もいる。
しかし、表1に現れた数字のどの差をもってそう言うか、議論のあるところだろう。
次に各演目の参加者。表2の通りである。

 

( 表2 )

 

   

ふえ・
古今東西

ルネサンスの

ウ゛ィウ゛ァルテ゛ィ 
の試み

エマヌエル・バッハの
感情

コン・ウ゛ァリ 
アチオーネン

革新者
ヘ゛ートーウ゛ェン

参加者

376

185

274

155

168

675


入場無料のメインステージの参加者は表3の通り。


 

(表3)

 

第8回

,415名

第9回

940名

10

,210名

 

メインステージは第8回からの開催である。
初回は、提案者でリコーダー奏者の向江昭雅氏らの御尽力により圧倒的な数のコンサートが開催された。
それが参加者の数にも反映していると思う。
勿論、入場券のない「メイン」の観客数は半券を数えるわけではないので概数である。
とはいえ、第10回は第9回よりは空席が目立たなかった印象はあり、
「メイン」が定着しつつあるとは言えるかも知れない。
今回初めて見に来て、来年もぜひ、という人もいるから
メインステージの内容、PRは今後一層の意を用いるべきだろう。
ところが、入場無料のコンサートに経費を掛けるべきではないとの意見もある。
しかし、見に来た人が「来年も」と思う内容とは
少なくとも見に来る価値のあるものでなければならないのも当然だ。
メインステージのもつ意義を主催者がどうとらえ、芸術音楽の普及、若手奏者の励みといった「決まり文句」の実体をどう創り出すのか、才覚手腕の問われる場面だ。
メインステージに3回連続出演し昨年の12月、名古屋と東京でリサイタルを開いて好評を博した魅力ある奏者からこんな手紙が届いた。
「栃木の街は音楽祭のおかげで『また来たくなる街』になっていると私は思います。演奏を聴いたりしたりする楽しみの他にも、うなぎやラーメンを食べにいくことさまざまな人と出会えるのも魅力です。
私自身に関していえば、蔵の街に出ていなければリサイタルを開かないかと声を掛けられることもなかったと思います。」
なかなか示唆に富むと思うが、読者諸氏はどう思われるだろう。
市内22.4%が少ないことを重視するか、市外77.6%が多いことを重視するかで「街おこしとして、税金を投入する事業だから」という同じ理由にもかかわらず二つの異なる音楽祭像を描くことができそうだ。
次回はそれを検討したい。(つづく)