蔵の街クリニック
  1. HOME
  2. 蔵の街クリニック
  3. 蔵の街クリニック 詳細

蔵の街クリニック

カルテ⑧ 栃木ブランドのすすめ モダンタイムズ 11月号 蔵の街クリニック原稿

天候に恵まれ、第十回[蔵の街]音楽祭が終わった。
「新しい風」をテーマに、時代を切り開いた音楽家の作品を集めた演奏会は「ヴィヴァルディ、バッハ、ベートーヴェンと音楽の歴史を旅しているようでした」
(栃木市内の方)と、感性豊かな方々に深く受けとめていただけたようだ。
さらに、「創造という試みに音楽祭全体が満ちている。
また街並が人間的な空間をかもし出し大変心安らぐ環境で21世紀の人間宇宙、芸術、生きることを考えるのに最適な場所」 
(群馬県多野郡40代女性。3演目鑑賞)と栃木市そのものをも絶賛して下さる方もいらした。 
「回を重ねる毎に町の行事として定着してきたと思います。思いがけない曲に出会ったり、印象に残る曲があったり、キンモクセイの香る時期の音楽祭、いつも楽しみにしております」(栃木市内の方 2演目鑑賞)のように、市内外に当音楽祭をご自身の年中行事として
楽しみにしておられる方もあらわれた。
しかしながら、「時として余りに静かすぎる(活気がない)という印象を受けるのも正直なところです。
また客席が寂しい。事実街を歩いても、音楽祭をやっている、成功させようという空気が感じられない(感じられるのは各会場においてのみ。コンサート終了後会場を出るとそこは真暗闇)」(東京都30代男性 3演目鑑賞)

「第2回から参加しているが、他県からは宿泊の用意がないと参加しにくい。宿泊の案内をしてはどうか。聴衆が少ないのがもったいない。原因は何か。」(横浜市60代男性 5演目鑑賞)

「栃木市内の案内がなく、もっと栃木に不案内の人でもきたくなるような or 来ても迷わないような案内版や→が必要。また、宿泊案内など観光協会とタイアップすべき」(川崎市50代女性 3演目鑑賞)
と言った傾聴すべき意見も目立つ。
「文化事業にも力を入れている栃木市の姿勢がうかがわれる」(茨城県の方)

「栃木がんばっているなと感心してます」(小山市50代女性)

とも見られるのだから、実行委員だけでなく多くの住民の力が必要だ。
音楽祭サミットに参加された鹿児島の霧島国際音楽祭では、各地からの音楽祭来訪者に地元で何かできることはないか、と主婦を中心に郷土料理を振る舞う「牧園友の会」が結成され活動していると言う。
クラシック音楽のファンは少数である。
霧島も、だから違ったアプローチで音楽祭を支援し始めたのだと言う。
「栃木市の子供達は幸せだと思う。古楽に関しては出前コンサートで理解が進み古楽器リコーダーに至っては単に『たてぶえ』から本格的な楽器へと復権したのではないか。
昨日のリレーコンサート、メインステージを通じそんなことを思った。
「この辺が我が日立にはない」(茨城県日立市の方 4演目鑑賞)

「同県内でありながら文化の花開かない宇都宮に住み、この音楽祭の企画運営をうらやましく思っています」(宇都宮市30代男性)

「内容的にも高度な催しに市民の音楽的レベルがしのばれます。他市からも楽しみにしてまいりました。芸術の秋にふさわしい音楽の泉にふれた思いです」(栃木県内の方)

こうした見方を「隣の芝生は青いものだ」と切り返すことは可能だ。
しかし、逆に、この機会に「栃木」をブランドにしようという考えもまた可能なのではないだろうか。
事実栃木市内の方が次のように書かれた。
「こんなにグレードの高い音楽祭は私にとっても誇りです。」
報道によれば、21世紀への栃木県のイメージ発信をテーマとした「栃木イメージ創造シンポジウム」(県主催)では、旅の番組やドラマでも有名な東大経済学部出身の俳優渡辺文雄氏が
「イメージをつくるには百年数十年の年月がかかる。
住んでいる人が誇りをもつことが大事」と檄を飛ばしたそうではないか。
たとえ自分にクラシック音楽を聴く習慣がなくても、観光案内はできる。郷土料理は振る舞える。
それが栃木のイメージづくり町づくりにつながるはずだ。
「毎年楽しみにしております」 宇都宮市 63歳男性 50歳女性 埼玉県宮代町53歳女

「初めて来ました。来年も又来たいと思います」宇都宮市54歳男性

「初めて知りました。普段はあまりきくことのできない珍しい内容のものをこんなに密度が高く
鑑賞できるはすばらしいですね」埼玉県宮代町53歳女性、桐生市50代男性

「横浜から来たかいがありました。」横浜市 56歳男性 
2演目鑑賞と言う声にさらに応えるためにも、より多くの知恵と力を集めようではないか。
オーストリア国民五千人を対象に、年間約80億円の国費を要する
ウィーン国立歌劇場存在の是非を問う世論調査が行われたところ同歌劇場を実際に訪れたことのある人は9%しかいないにもかかわらず、72%の人が「国立歌劇場」の存在を認めたという。
この事実は、多くの国民が、歌劇場はオペラファンだけでなく、そうでないオーストリア国民にも
有形無形の恩恵をもたらす宝だと考えている証拠だろう。
栃木にとっての音楽祭はどうだろうか。 
元京都大学経済学部教授で文化経済学会会長の池上惇先生は、栃木サミットの講演で
「これからの産業は直接的対人サービス産業である」とおっしゃった。
例えば「医療・福祉・文化」だ。
なぜかについては次号。